コラム

COLUMN
2021.09.15

【相続の基礎】相続税の申告と納付

相続税の申告と納付は、相続を知った日の翌日から10ケ月以内に行われなければなりません。

相続税の申告と納付が必要かどうかは、基礎控除額を計算することで分かります。

この記事では、相続税の申告と納付について、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

※相続税のご相談については、提携している税理士を紹介いたします。

相続税は被相続人の住所地の税務署に申告

相続税の申告および納付は、相続を知った日(通常は相続開始の日)の翌日から10ケ月以内に行わなければなりません。

相続税は原則として金銭で一括して納付することになっており、申告および納付先は相続人の住所地ではなく、被相続人の住所地を管轄する税務署になります。

期限までに遺産分割協議がまとまらない場合、ひとまず法定相続分で分割したものとして計算し、申告・納税をします。

その後、分割が確定したら修正申告(納めた額が少なかった場合)・または更正の請求(納めた額が多すぎた場合)をします。

相続税は遺産相続をした全ての人に課税されるわけではなく、課税価格が基礎控除額以下であれば申告・納税の必要はありません。

課税価格とは、相続財産から債務や葬式費用・非課税財産を差し引き、みなし相続財産や生前贈与財産を加算した額です。

相続税の税率と相続税額の例
取得金額 税率 控除額
1000万円以下 10% 0万円
3000万円以下 15% 50万円
5000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1700万円
3億円以下 45% 2700万円
6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円

相続税の基礎控除額の計算方法

相続税の基礎控除額は以下のように計算します。

「3000万円+法定相続人1人につき600万円加算」

たとえば法定相続人が4人いれば改正後の基礎控除額は

「3000万円+600万円×4人=5400万円」

となります。

課税価格がこれ以下であれば申告・納税は不要です。

この場合の法定相続人の数は、相続放棄をした人がいても放棄をする前の相続人の人数になります。

また、法定相続人に被相続人の養子がいる場合、法定相続人の人数として数えられるのは被相続人に実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までの人数となります。

相続税の対象となる財産・ならない財産とは

相続財産には、相続税の課税対象になる財産とならない財産があります。

相続税の課税対象となる財産は、「被相続人が所有していた土地(宅地・田畑・山林)・家屋・事業用財産・有価証券・現金・預貯金・家具・書画・骨董・自動車・電話加入権」などの本来の財産です。

それに「みなし相続財産」「相続開始3年以内に生前贈与された財産」「相続時精算課税贈与財産」などが加わります。

※みなし相続財産=被相続人が死亡したことによって発生し取得することになった財産で、生命保険金・死亡退職金・生命保険契約に関する権利などのこと。
相続税の課税対象となる財産一覧
土地 宅地・田畑・山林・原野・雑種地など 家庭用財産 家具・十時備品・宝石・貴金属・書画・骨董・自動車・電話加入権など
土地に有する権利 地上権・借地権・耕作権など その他

立ち木・貸付金・配当金・ゴルフ会員権・特許権・著作権など

未収金(地代・家賃・給与・賞与など)

家屋 自用家屋・貸家・工場・倉庫・門・塀・庭園設備など みなし相続財産 生命保険金・死亡退職金・個人年金(定期金)・低額譲り受け(遺言により著しい低額で財産を譲り受けた倍)など
構築物 駐車場・広告塔など 生前贈与財産 相続開始前3年以内に被相続人から譲り受けた財産(贈与税の配偶者控除の特例を受けた財産は加算されない)
事業用・農業用財産

減価償却資産(機械・器具・備品・車両など)

商品・製品・半製品・原材料・農産物・営業上の債券・牛馬・果樹・電話加入権・営業権など

相続時精算課税贈与財産 相続時精算課税制度を選択した場合の贈与財産
預貯金・有価証券 現金・各種預貯金・株式・出資金・公社債・証券・投資信託等の受益証券など 贈与税の納税猶予を受けた非上場株式 「非上場株式等の贈与税の納税猶予制度」を受けた非上場株式(贈与時の価額で加算される)

一方、課税対象にならない財産は以下のようなものです。

課税対象にならない財産一覧
祭器関係 墓地・墓碑・仏壇・仏具・祭具など
生命保険金 相続人が受け取った保険金のうち「500万円×法定相続人の人数」までは非課税
死亡退職金等 相続人が受け取った死亡退職金等のうち「500万円×法定相続人の人数」までは非課税
公益事業財産 宗教・慈善・学術など公益を目的とする事業を行う人が取得し公益事業用に使う財産
心身障がい者受給金 心身障がい者共済制度にもとづく給付金の受給権
寄付金 相続税の申告期限までに、国・地方公共団体・特定の公益法人・特定の非営利活動法人(NPO)へ寄付した財産

配偶者の税額軽減

被相続人の配偶者には、相続税が大幅に軽減あるいは無税になる特典「配偶者の税額軽減」が設けられています。

配偶者の税額軽減を受けるには、遺産分割協議を成立させたうえで税務署への申告が必要になります。

配偶者の税額軽減が適用されて無税になるのは以下の2つの場合です。

  • ①取得財産の課税価格が1億6000万円以下
  • ②取得財産の課税価格が法定相続分以下

これ以外でも、本来の相続税の額から法定相続分に対する税額を引いた額を納めればいいのでかなり減額されるでしょう。

ただし、今回は子や孫に相続させたほうが次に配偶者に相続が発生したときに有利(納税額が少ない)になる場合もあるので、その確認もしておくことをおすすめします。

相続税の申告と納付に関するまとめ

  • 相続税は相続を知った日の翌日から10ケ月以内に被相続人の住所地の税務署に申告する
  • 相続税の基礎控除額の計算方法は「3000万円+(600万円×法定相続人1人)」
  • 相続税の対象になる財産とならない財産がある
  • 配偶者の税額軽減を受けるには遺産協議分割を成立させた上で税務署に申告する必要がある

以上、相続税の申告と納付について解説しました。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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