相続をめぐっては遺産分割に関するトラブル以外にも、その前提問題についてトラブルが生じることがあります。具体的には、
- ①相続人の範囲に関する問題
- ②遺産の範囲に関する問題
- ③その他の問題(遺留分や遺言が法的に無効になる場合)
などを遺産分割の前提問題のおもなトラブルとして挙げることができます。
この記事では、遺産分割以外の相続トラブルについて、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。
目次
遺産分割にはどんな前提問題があるのか?
冒頭で述べたとおり、遺産分割の前提問題についてのおもなトラブルには、
などを挙げることができます。それぞれの問題について解説していきましょう。
相続人の範囲に関するトラブル
相続財産を配分する前提として、相続人の範囲に関する問題があります。
相続人に含まれる人を含めていなかったり、反対に含まれない無関係の人(相続欠落者・廃除された人・相続放棄した人など)を含めたりして、相続財産の配分をしてしまう可能性があります。
まず、相続人に含まれるべき人を含めていない遺産分割は、遺産分割終了後に認知された子が生じた場合を除いて無効となるので、遺産分割のやり直しが必要です。
一方、無関係の人が含まれている場合で遺産分割が終了しているときは、無関係の人に対する遺産分割の効力が否定されます。
この場合、遺産分割全体を無効にする必要はなく、無関係の人に配分した相続財産についてのみ、相続人全員で改めて遺産分割協議をします。
なお、相続人の中に行方不明者が含まれる場合、家庭裁判所に不在者管理人の選任を請求しなければなりません。
遺産分割は本人の意向が重要であるため、選任された不在者管理人が遺産分割に加わるときは、別途に家庭裁判所の許可が必要です。
遺産の範囲に関するトラブル
特定の財産が相続財産であるかどうかが不明な場合など、遺産の範囲に関する問題もあります。
遺産分割の審判では、審判をする前提として家庭裁判所が遺産の範囲に関する判断を示しますが、この判断には相続人を拘束する効力がありません。
したがって、特定の財産が遺産に含まれるかどうか、相続人間の争いが解決しそうにないときは、その特定の財産が遺産に含まれるか否かを判断する「遺産確認の訴え」という民事訴訟を提起することになります。
遺留分の侵害や遺言が無効になった場合の問題
遺産分割の前提問題以外にも、相続をめぐるトラブルとして遺留分をめぐる争いがあります。
遺産分割によって遺留分を侵害された兄弟姉妹以外の相続人は、自分の遺留分を確保するために遺留分侵害請求ができます。
その他、遺言者の遺した遺言が方式に反する場合などは、その遺言が無効になることがあります。
これらのトラブルについても、家庭裁判所に調停を求めたり、通常の民事訴訟を提起したりすることができます。
遺産分割以外の相続トラブルに関するまとめ
- 相続人に含まれる人を含めていない遺産分割は無効、相続に無関係の人に配分した財産についてはその分のみ遺産分割協議のやり直しをする
- 特定の財産が遺産に含まれるかどうか相続人間で解決しない場合は「遺産確認の訴え」という民事訴訟を提起することになる
- 遺留分を侵害された兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分侵害額請求をすることが可能
- 遺言の方式に反するために遺言が無効になる場合は、家庭裁判所に調停を求める・民事訴訟を提起することができる
以上、遺産分割以外の相続トラブルについて解説しました。