コラム

COLUMN
2021.11.11

【相続対策】二次相続の相続税対策とは?

二次相続とは、一次相続(最初の相続)で残された配偶者が亡くなったときに発生する相続のことです。

一次相続でうまく節税できたと思っていても、二次相続で多額の相続税を納めなければならない場合もあるので、一次相続の際には二次相続まで考えて対応することが大事です。

この記事では、二次相続の相続税対策について日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

※相続税のご相談については、提携している税理士を紹介いたします。

二次相続は相続税の負担が大きくなる

二次相続とは、一次相続(最初の相続)で残された配偶者が亡くなったときに発生する相続のことです。

たとえば父親が死亡したとき、母と子供が相続人となったが数年後に母が亡くなって子どもが相続人になることを二次相続と言います。

一般的に、一次相続と二次相続では、二次相続のほうが相続税が高くなります。

その理由は以下の通りです。

二次相続の相続税が高くなる理由①=二次相続では相続人が1人減る

一次相続の際に居た配偶者が、二次相続では亡くなっているので相続人が1人少なくなります。

ところが基礎控除額は

「3000万円+600万円×法定相続人の数」

で計算されるため、相続人が1人少なくなると基礎控除額が600万円少なくなってしまいます。

つまり、課税対象の遺産が600万円多くなるということです。

二次相続の相続税が高くなる理由②=配偶者の税額軽減が使えない

一次相続の際に適用できた配偶者の税額軽減が、二次相続では使えません。

配偶者の税額控除は節税効果が大きいため、一次相続で配偶者に多めに遺産を相続させて納税総額を抑えたいと思うかもしれません。

しかし、配偶者が相続した多額の遺産が二次相続の際に大きな負担となってしまいます。

二次相続での相続税対策を考えて計画する

二次相続で必要以上に大きな負担を負わないためには、一次相続の際に二次相続のシミュレーションをしておく必要があります。

一次相続の際、配偶者にいくら相続させるのかは重要です。

夫の遺産総額が2億円のケースで計算してみましょう。

法定相続人は妻と子ども2人です。

妻の遺産は夫から相続した分のみとし、配偶者の税額軽減以外の特例は適用しないとします。

このケースで「法定相続分どおりの遺産分割」と「配偶者の税額軽減を最大活用した遺産分割」の場合の想定は以下のとおりです。

①法定相続分どおりに遺産分割した場合

  • 一次相続時・・・各人の相続額は妻が1億円(2分の1)、子Aが5000万円(4分の1)、子Bも5000万円(4分の1)
  • 二次相続時・・・妻が一次相続で引き継いが1億円を、子Aと子Bが5000万円(2分の1)ずつ相続

②一次相続時に配偶者の税額軽減を最大限に活用して遺産分割した場合

  • 一次相続時・・・妻が1億6000万円、子Aと子Bが残額の4000万円を2000万円ずつ相続
  • 二次相続時・・・妻が一次相続で引き継いだ1億6000万円を子Aと子Bが8000万円ずつ相続

①と②の相続税額の比較表

相続の方法 一次相続時の相続税額の合計 二次相続時の相続税額の合計 2回分の相続税の合計額
①法定相続分で遺産分割 1350万円 770万円 2120万円
②配偶者の税額軽減を最大限活用する 540万円 2140万円 2680万円
①と②の差額 810万円 1370万円 560万円

2つの場合で相続税額を計算すると、2回分の相続税の合計額は法定相続分どおりに分割したほうが560万円も安くなる結果が出ます。

一概に配偶者の税額軽減を使えばいいわけではないことが分かります。

このように、二次相続で相続税の負担を軽くするためには、一次相続時に配偶者がいくら相続するのがもっとも適切かを計算して割り出す必要があります。

一次相続後に財産が増えた場合は二次相続に注意

年の差夫婦に起こりがちなのが、遺産を元手に投資するなどして財産が増えるという問題です。

一次相続で配偶者が遺産を相続してから亡くなるまでに財産が増えると、二次相続の相続税の負担が増えてしまいます。

こうした場合には、配偶者が亡くなったときに発生する子供への二次相続に備えて生前に対策しておくといいでしょう。

さまざまな生前対策がありますが、代表的な対策は以下のとおりです。

対策①・・・生前贈与

配偶者が子どもに生前贈与することで、死亡時の相続財産を減らすことができます。

よく使われるのは贈与税の基礎控除、年間110万円を利用した贈与(暦年贈与)です。

1月1日~12月31日までの1年間の贈与額が110万円までであれば、贈与税がかかりません。

毎年地道に110万円を超えない贈与を繰り返すことで相続財産を減らしていきます。

この時、贈与のたびに契約をすることが大切です。

最初に贈与する年数、1回あたりの金額を決めてしまうと「連年贈与」として、最初の贈与年まとめて贈与税が課税されてしまうので注意しましょう。

対策②・・・生命保険に加入

配偶者が自身を被保険者に、子どもを保険受取人にして生命保険に加入します。

配偶者の死亡時に子どもが受け取る死亡保険金は相続税の対象になりますが、死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)があるので、その分相続税の課税財産が少なくなります。

二次相続の相続税対策まとめ

  • 二次相続は一次相続より相続税が高くなる
  • 一次相続の際に配偶者がいくら相続するのが適切なのかをシミュレーションするのが大切
  • 配偶者が一次相続で遺産を相続してから亡くなるまでに財産が増えた場合は生前に相続税対策をしておくといい

以上、二次相続の相続税対策について解説しました。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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