身近な人が亡くなったときは遺言書を書いているかどうか、生前に知らされていない場合は自宅・貸金庫などの個人的スペースや公証役場・法務局で保管されているか調査をしましょう。
遺言書が法務局で保管されている場合、遺言書の内容を確認するためには遺言書保管事実証明書を取得する必要があります。
この記事は、遺言書保管事実証明書の交付請求について、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。
目次
法務局に遺言書が保管されているか確認する
遺言者が遺言書の保管を申請する際に希望していれば、遺言書保管官が遺言者の死亡の事実を確認した場合に、
- ①遺言者の推定相続人
- ②遺言書に記載された受遺者等
- ③遺言書に記載された遺言執行者等のうちのあらかじめ遺言者が指定した1名
に対して、遺言書の氏名・生年月日・遺言者が保管されている遺言書保管所の名称・保管番号が記載された通知が届きます。
しかし、通知がなかった場合でも、自らに関する相続についての遺言書が遺言書保管所に保管されているかどうかを、遺言書保管事実証明書の交付請求をすることで確認できます。
遺言者が亡くなっている場合に限りますが、実際に保管している保管所に限らず、全国どこの遺言書保管所からでも遺言書保管事実証明書の交付請求ができます。
遺言書保管事実証明書の交付請求書の作成に必要な書類は以下のとおりです。
作成書類 | 遺言書保管事実証明書の交付請求権 |
添付書類 |
・遺言者の死亡の事実を確認できる戸籍(除籍)謄本 ・請求人の住民票の写し ・相続人が請求する場合は相続人であることを確認できる戸籍謄本 ・法人が請求する場合は法人の代表者事項証明書(3か月以内) ・請求できる者の法定代理人が請求する場合は戸籍謄本(親権者)や登記事項証明書(後見人等)など法定代理人であることが確認できる書類 |
請求人 | 相続人・受遺者・遺言執行者等の法定代理人 |
請求先 | 遺言書保管所たる法務局(全国どこの遺言書保管所でも可) |
請求費用 | 1件につき800円 |
遺言書保管事実証明書の交付請求の流れ
相続人でなくとも、定められた受遺者等・遺言執行者等は遺言書保管事実証明書の交付請求が可能です。それぞれの交付の手続きの流れやポイントを解説していきましょう。
相続人が請求する場合
相続人が遺言書保管所での遺言書の保管の有無を確認する場合には、遺言書保管事実証明書の交付請求書に加え、以下を確認できる戸籍謄本を書類として添付します。
- ①遺言者の死亡の事実が確認できる戸籍(除籍謄本)
- ②請求人の住民票の写し
- ③請求人が相続人であること
なお、相続人の親権者や後見人等の法定代理人が請求する場合には、法定代理人であることを示す3か月以内に発行された戸籍謄本(親権者)や、登記事項証明書(後見人等)が必要です。
請求できる受遺者・遺言執行者等について
遺言書保管事実証明書の発行は、受遺者等(遺言により認知された子や胎児も含む)にも可能です。
遺言による保険金受取人の変更により保険金受取人となる人も交付請求することができます。
遺言執行者等は、遺言書に記載されている者に限り、遺言書保管事実証明書の発行ができます。
受遺者等・遺言執行者等が請求する場合の必要書類について
受遺者等・遺言執行者等の相続人ではない人が遺言書の保管の有無を確認する場合には、遺言書保管事実証明書の交付請求書に加えて以下の添付書類が必要です。
- ①遺言者の死亡の事実が確認できる戸籍(除籍謄本)
- ②請求人の住民票の写し
- ③請求人が法人である場合には、3か月以内に発行された代表者事項証明書
なお、請求人の親権者や後見人等の法定代理人が請求する場合には、相続人の場合と同様に法定代理人であることを示す3か月以内の発行された戸籍謄本(親権者)や、登記事項証明書(後見人等)が必要となります。
遺言書保管事実証明書の交付
相続人・受遺者等・遺言執行者等いずれの場合でも予約が必要です。
窓口請求する場合には、運転免許証等で本人確認をした上で遺言書保管事実証明書が発行されます。
郵送にて請求する場合には、請求人の住所地に宛てた切手を貼った返信用封筒を同封することにより、遺言書保管事実証明書が送付されます。
遺言書の内容を確認する2つの方法
遺言書情報証明書の交付請求・遺言書の閲覧請求をすると、遺言書保管官は、請求人以外の相続人・受遺者等・遺言執行者等に対し、遺言書を保管していることを通知します。
請求人以外の相続人にも遺言書の存在を知らしめることで、請求人による遺言書の隠匿を防ぐという意味を持っています。
相続人や遺言執行者などが遺言書の内容を確認するには、以下の2つの方法があります。
- 遺言書保管情報証明書の発行を受ける方法
- 遺言書の閲覧をする方法
いずれも相続がはじまった場合にのみ手続できます。なお、遺言書保管所に保管されていた遺言書は、検認の手続を受ける必要はありません。
方法1・・・遺言書情報証明書の取得
遺言書情報証明書とは、遺言書の内容の証明書となるもののことですが、遺言書情報証明書には以下の項目が記載されます。
- ①遺言者の情報(遺言者の氏名・出生年月日・住所・本籍(外国籍の場合には国籍))
- ②遺言書の情報(遺言書の作成年月日・保管開始日・遺言書が保管されている遺言書保管所の名称・保管番号)
- ③受遺者等の情報(受遺者等や遺言執行者等がある場合)
- ④遺言執行者等の情報(受遺者等や遺言執行者等がある場合、氏名・住所)
- ⑤遺言書の写し(目録等の別紙も含める)
発行された遺言書保管情報証明書は、不動産の相続登記や金融機関での相続手続において遺言書と同じ扱いで使用することができます。
方法2・・・遺言書の閲覧請求
遺言書の写しを含む遺言書情報証明書を取得する方法以外に、関係相続人等は法務局に保管している遺言書を閲覧することも可能です。
保管所では、遺言書原本のほか、遺言書を映した画像映像も遺言書保管ファイルとして保管されています。
そのため閲覧方法には、以下のいずれかの方法を選択できます。
- モニターにより遺言書の画像映像を閲覧する方法
- 遺言書原本を閲覧する方法
モニターによる閲覧は、画像映像の閲覧のため全国どの遺言保管所でも閲覧請求できます。(手数料が少し安いというメリットがあります。)
遺言書原本を閲覧する場合には、遺言書を保管している遺言書保管所でのみ閲覧請求ができます。
また、遺言書の閲覧がなされた場合、請求人以外の相続人・受遺者等・遺言執行者等に対し・遺言書を保管している旨を通知することは前述したとおりです。
請求費用 |
モニターによる閲覧の場合、1回につき1,400円 遺言書の原本の閲覧の場合、1回につき1,700円 |
申請書等の閲覧
相続開始後、以下の者に特別な事由があるときは、遺言書の保管の申請について、申請がなされた遺言書保管所で当該する申請書とその添付書類の閲覧を請求することができます。
- ①相続人
- ②関係相続人等
- ③当該遺言書に記載された受遺者・遺言執行者
撤回については、相続開始後の相続人および撤回された遺言書に記載された受遺者・遺言執行者において、当該する撤回がなされた遺言書保管所での閲覧申請が可能です。
手数料は、1つの申請・撤回に関し、1,700円です。
遺言書保管事実証明書の交付請求に関するまとめ
- 法務局に遺言書が保管されているかどうかは、相続が発生したあとに限り、関係相続人等は遺言書保管事実証明書を取得することで全国どこの遺言書保管所でも確認することができる
- 遺言書の内容については、相続が発生したあとに限り、関係相続人等は、遺言書の写しを含んだ遺言書保管情報証明書を取得し、内容を確認できる
- 遺言書保管情報証明書は法務局や金融機関での相続手続に使える
- 特別の事情がある場合は関係相続人等は、遺言書の保管申請書等を確認できる
以上、遺言書保管事実証明書の交付請求について解説しました。