コラム

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2023.08.28

【相続手続き】貸金庫に相続財産がある場合の相続手続き

亡くなった被相続人が貸金庫を利用していた場合は、相続手続きが必要になります。

貸金庫の中には相続財産が入っている場合もあるため、金融機関での煩雑な手続きを踏んだ上で中身を確認する必要があります。

この記事では、貸金庫に相続財産がある場合の相続手続きについて、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

※相続税のご相談については、提携している税理士を紹介いたします。

記事の要点

この記事をわかりやすく要約した内容を先に紹介しましょう。

  • 貸金庫契約は相続の対象となる。借主が死亡した場合、鍵を持った誰かが中身を抜き取る可能性も考えられるのですぐに金融機関へ知らせること。→詳細へ
  • 相続が開始されると、貸金庫契約は遺産分割が完了するまで相続人全員の共有状態になる。貸金庫の開庫には、相続人全員で手続きが必要。→詳細へ
  • 貸金庫契約をしている場合は、遺言を作成しておくなどの生前対策をしておくことが望ましい。→詳細へ
  • 貸金庫の解約手続きは相続人全員で行う。→詳細へ
  • 貸金庫の中身も相続税の対象となるので、貸金庫の有無を確認しておくとよい。→詳細へ

関連:生前に家族と共有すべき相続財産の情報とは何か?

貸金庫の相続手続きにおいて知っておきたいこと

貸金庫契約の性質と、利用者(被相続人)が死亡してからの貸金庫の相続手続きの流れや注意点について説明しましょう。

貸金庫契約は相続の対象となる

貸金庫契約とは、利用者が金融機関の貸金庫という施設に申し込み、毎月一定の料金を支払えば誰でも利用できるものです。金庫の中には債権証書・預金通帳・貴金属などの貴重品類を預けることができます。

正鍵は借主が預かり、借主とあらかじめ届け出た代理人が使用でき、副鍵は金融機関が保管しています。

このように貸金庫契約の性質は賃貸借契約なので、貸金庫契約に基づく権利義務は財産上の権利として、利用者が死亡した場合には相続の対象となります。

利用者が死亡したら早急に金融機関に知らせること

借主が死亡した場合、あらかじめ届け出られた代理人の代理権は消滅するので、貸金庫を開閉することはできなくなります。共同相続人も、全員で手続きしなければ貸金庫の開閉はできません。

しかし、実際には貸金庫の鍵を持っていれば開閉が可能なため、金融機関は貸金庫利用を拒絶できません。つまり、相続人の誰かが単独で貸金庫を開閉し、その中身を抜き取ってしまう可能性もあるというわけです。

そこで、借主が死亡した時には、早急に金融機関に通知し、死亡の事実を知らせることで以後の利用をできないようにしてもらわなければなりません。

相続人全員でなければ貸金庫の開閉はできない

利用者が死亡し相続が開始されると、貸金庫契約に基づく権利義務は共同相続人に承継されます。

貸金庫契約に基づく権利は共同相続人間で準共有とされているため、遺産分割が完了するまでは貸金庫の中身は相続人全員の共有状態にあります。

したがって、利用者の死亡後、貸金庫を利用するには全員の同意が必要です。貸金庫の開庫には、相続人全員で手続きをする必要があります。

貸金庫がある場合は生前対策をしておくことが望ましい

貸金庫の契約自体を家族が知らない場合、貸金庫の財産の発見が遅れることもあります。発見が遅れた場合、遺産分割がやり直しになったり、相続税の申告の際に余計な負担が掛かってしまったりするため、利用者が生前に対策を施しておくと後々のトラブル回避につながります。

遺言などで、相続人の一部の人に貸金庫の借主の権限を承継させるという合意が成立していれば、一部の人が貸金庫を開庫することも可能となります。

遺言では、遺言執行者と遺言執行者の権限も指定することができるので、遺言執行者に貸金庫を開庫する権限を付与しておくことで、相続人全員の同意を得ずとも開庫することができます。

争いを避けるために、あらかじめ遺言書で遺言執行者に権限を付与しておくのが望ましいでしょう。

貸金庫契約の解約手続きは相続人全員で行う

もともと貸金庫契約では、借主本人の利用を前提としているので、金融機関からすれば相続人が継続して利用することは本来予定されていません。

また、相続人側でも継続して貸金庫を利用するメリットに乏しいため、解約手続きの際は、貸金庫契約の権利義務を承継した相続人全員で貸金庫の解約書を提出することになります。

貸金庫の中身も相続税の対象となる

相続税は被相続人の所有していたものすべてに掛かるので、相続財産貸金庫の中に入っている財産も相続税の対象となります。

「貸金庫に入れておけば財産の存在はばれないだろう」と思われるかもしれませんが、貸金庫は税務調査の定番であるため、隠すことは不可能でしょう。

相続人が貸金庫の存在自体を知らなかった場合もあるので、相続税の申告漏れが起きないよう、貸金庫の有無と中身については早めに確認することをおすすめします。

以上、貸金庫に相続財産がある場合の相続手続きについて解説しました。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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