コラム

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2021.12.24

【相続手続き】死因贈与契約とは?遺贈との違い

自身が亡くなった時に財産を他人に渡す方法には、遺贈と死因贈与があります。

死因贈与は遺贈と類似していますが、死因贈与は「契約」であるため、当事者双方の合意によって成立します。

この記事では、死因贈与契約について、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

死因贈与と遺贈との違い

死因贈与とは死亡したことを原因として贈与を行うことです。

贈与者と受贈者の間で「贈与者が死亡した際に財産を贈与する」という約束をすることで死因贈与契約は成立します。

民法は、死因贈与について遺贈に関する規定を準用していますが、死因贈与契約は当事者双方の合意に基づく贈与契約であることから、具体的には次のように扱われます。

      • 遺言能力に関する規定は準用されず、通常の行為能力が求められる。
      • また、方式に関しても遺言のように厳格な規定は準用されない。
      • 遺贈の承認・放棄に関する規定・包括受遺者の地位に関する規定・被相続人が生前に処分をした場合・あるいは相続財産に属さない権利を目的とする場合の規定は準用されないとしている。

遺言の撤回に関しては、贈与者の自由な撤回を認めれますが、遺言の撤回に関する規定の準用を否定する意見もあり、死因贈与について贈与者は自由に取り消しができないと判断した判例もあります。

死因贈与により不動産等の財産を取得すると、相続によって財産を取得したものとされるので、受贈者には贈与税ではなく相続税が課税されます。

死因贈与執行者の選任を求めることができる

死因贈与契約は遺贈の規定を準用するので、死因贈与契約の履行について執行者の選任を求めることができます。

相続人が、死因贈与契約の履行に積極的でない場合、契約内容の履行を求めて死因贈与執行者選任の審判申立てをし、死因贈与執行者に契約の履行(不動産の所有移転登記手続)を請求できます。

作成書類 死因贈与執行者選任審判申立書
添付書類

死因贈与者の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)

申立人の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)

※これらの謄本等は、法定相続情報証明制度を利用する場合、法定相続情報一覧図の写しで代用できますが、予め裁判所へご確認ください。

・死因贈与執行者候補者の住民票または戸籍附票
・死因贈与契約書
・不動産登記事項証明書

※その他各裁判所の定めるところにより、身分関係についての資料・手続の円滑な進行を図るために必要な資料の提出を求められる場合があります

申立時期 随時
申立人 受贈者
申立先 相続を開始した地を管轄する家庭裁判所
申立費用 収入印紙800円・予納郵便切手(各裁判所の定めるところによる)

死因贈与に基づく不動産所有権の移転登記申請

死因贈与に基づく不動産の所有権移転登記の手続に必要な書類を紹介しましょう。

不動産の所有権移転登記の申請

死因贈与は契約なので、契約内容の履行義務は贈与者の相続人がその義務を引き継ぎます。

したがって、贈与者の相続人に協力を得られる場合であれば、相続人を登記義務者として、不動産の所有権移転登記手続を申請します。

作成書類 登記申請書
添付書類 死因贈与者の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 (全部事項証明書)
・死因贈与者の除かれた住民票の写し(本籍地の記載のあるもの)
・相続人の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
・登記義務者の印鑑登録証明書
・受贈者の住民票
・登記原因証明情報(死因贈与契約書)
・委任状(第三者に委任する場合)
※法定相続情報証明制度を利用する場合、法定相続情報一覧図
申請時期 随時
当事者

【登記権利者】受贈者

【登記義務者】死因贈与者の相続人

申請先 不動産の所在地を管轄する法務局
登録免許税 不動産の固定資産評価額に1000分の20を乗じた額

相続手続きには法定相続情報証明制度が活用できる

平成29年5月29日から法定相続情報証明制度が新設されました。

この制度によって交付される法定相続所法一覧図の写しは、相続登記の申請手続をはじめ、被相続人名義の預金の払戻し等、さまざまな相続手続に利用することができます。

法定相続処方一覧図の写しを交付してもらうには、相続人が登記所に対し、以下に挙げた書類をはじめとする必要書類を提出しましょう。

  • ①  被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係の書類等
  • ②  ①の記載に基づく法定相続情報一覧図(被相続人の氏名・最後の住所・生年月日および死亡年月日ならびに相続人の氏名・住所・生年月日および続柄の情報)

なお、相続登記を申請する際には、従来どおり戸籍謄本等を添付して行うことも可能です。

相続人に対する履行請求

死因贈与契約の履行義務を承継した相続人に対して、贈与を原因とする不動産の所有権移転登記手続を求める訴訟を提起します。

登記原因となる贈与の日付は、死因贈与契約の効力が発生する日となる贈与者の死亡日となります。

作成書類 訴状(所有権移転登記手続請求の場合)
提出する書証

・死因贈与者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)

・相続人の戸籍謄本(全部事項証明書)

※これらの謄本等は、法定相続情報証明制度を利用する場合、法定相続情報一覧図の写しで代用できますが、あらかじめ裁判所へご確認ください

・不動産登記事項証明書

添付書類

・固定資産評価証明書

・訴訟委任状

提起時期 随時
当事者

【原告】受贈者

【被告】死因贈与者の相続人

提起先 被告の住所地の管轄裁判所または不動産の所在地の管轄裁判所
提起費用 不動産の固定資産評価額の2分の1を訴訟物の価格とする訴訟費用・予納郵便切手(各裁判所の定めるところによる)

死因贈与契約に関するまとめ

  • 相続人に、死因贈与契約に基づき不動産の所有権移転登記手続を求める
  • 相続人が、上記登記手続に協力的でない場合、死因贈与執行者選任の審判申立て
    をする
  • あるいは相続人に対して死因贈与契約に基づく履行請求として、不動産の所有権移転登記
    手続請求訴訟を提起する

以上、死因贈与契約について解説しました。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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