コラム

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2022.02.21

【令和4年度税制改正大網】贈与税・固定資産税等の改正ポイント

税制改正大綱とは、世の中の情勢変化などにあわせ、翌年度の税制改正の方針を取りまとめたものです。

令和4年度税制改正大網のうち、相続にまつわる話題として、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置と土地に係る固定資産税の負担調整措置の変更点、財産債務調書等の提出義務者拡大について確認しましょう。

この記事では、贈与税・固定資産税の改正ポイントについて、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

※相続税のご相談については、提携している税理士を紹介いたします。

贈与税に関する改正のポイント

「令和4年度税制改正大網」のうち、住宅取得資金等に係る贈与税についての改正内容を確認していきましょう。

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税について

贈与税の非課税期限の延長

父母・祖父母などの直系尊属が、子・孫に住宅取得のための資金を贈与した際に適用される非課税措置の適用期限が、2023年12月31日まで2年延長します。

非課税限度額の引き下げ

改正前の非課税限度額は、

  • ①耐震・省エネ・バリアフリー住宅で家屋に係る消費税率10%適用の場合は1,500万円
  • ②消費税率10%適用以外の場合は1,000万円まで

としていました。

また、耐震・省エネ・バリアフリー以外の住宅は①・②の場合それぞれ500万円減額した金額を限度としていました。

しかし、今回の改正案によって、消費税率による区分を廃止。

非課税限度額は住宅用家屋の取得等に係る契約の締結時期にかかわらず、住宅取得等資金の贈与を受けて新築等をした住宅用家屋の区分に応じた金額(以下の表を参照)とします。

  現行 改正後
耐震・省エネまたはバリアフリーの住宅用家屋 1,500万円 1,000万円
上記以外の住宅用家屋 1,000万円 500万円

既存住宅用地の要件

既存住宅用地の要件について、築年数要件を廃止するとともに、新耐震基準に適合している住宅用家屋であることが加わります。

受贈者の年齢要件の見直し

受贈者の年齢要件は民法改正を受けて見直され、20歳以上から18歳以上に引き下げられます。

また、適用対象となる中古住宅について、改正案では築年数要件を廃止するとともに、新耐震基準に適合している住宅用家屋とします。

所得税額の特別控除の延長・拡充について

住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除=住宅ローン減税は、適用期限を2025年12月31日までの4年延長されます。

控除率は現行の1%から0.7%に引き下げられます。

新築住宅の控除期間は10年から13年へ延長されますが、中古住宅については延長はありません。

住宅ローン減税の適用対象者の所得要件は3,000万円から2,000万円へと引き下がります。

以下は改正前後の比較表です。

  現行 改正後
適用期限 2021年 2025年
控除率 1.0% 0.7%
新築住宅の控除期間 10年間(原則) 13年間(原則)
中古住宅の控除期間 10年間 10年間
住宅ローン減税の所得要件 3,000万円 2,000万円

固定資産税に関する改正のポイント

新型コロナ渦の影響による据え置き特例措置の終了と、土地に係る固定資産税額の負担軽減措置について説明していきましょう。

据え置き特例措置の終了

新型コロナ渦の対策によって地価が下がったとしても、評価額は上昇する可能性があったため、2021年度の固定資産税は特例として2020年度の税額に据え置かれていましたが、この特例措置が終了します。

土地に係る固定資産税額の負担軽減措置

地価が上がった商業地の固定資産税負担軽減策として、2022年度に限り、負担水準が60%未満の商業地等の課税標準額の増加を、現行の5%から2.5%に抑制します。

2021年度の課税標準額に2022年度の評価額2.5%を加算した額とすることで、固定資産税の税額上昇分を半減させます。

ただし、当該額が評価額の60%を上回る場合には60%評価額とし、20%を下回る場合には20%相当額とします。

財産債務調書制度の見直し

一定以上の所得や財産を保有する資産家が対象となる財産債務調書制度および国外財産調書制度についても、今回の改正で見直されます。

財産債務調書の提出義務者の拡大

改正前は、合計所得金額が2,000万円以下であれば、財産総額が高額であっても財産債務調書の提出義務がありません。

しかし、これでは納税者の資産の異動状況等の把握が十分にできないとして、改正案では総資産10億円以上の者については所得にかかわらず提出の義務が課せられるようになります。(令和5年分以降の財産債務調書について適用)

改正によって提出義務者が拡大されることとなるので、これまで提出義務がなかった方でも注意する必要があるでしょう。

なお、翌年3月15日までの財産債務調書・国外財産調書の提出期限について、令和5年分以後は翌年6月30日までの提出としています。

少額財産債務の省略範囲を100万円未満から300万円未満に引き上げ

負担軽減を目的とした財産債務調書等の記載事項の見直しがあります。

現行では、取得価額100万円未満の現金・美術品等を除く家庭用動産など一部の少額財産債務の記載を省略することができます。

しかし、改正案では取得価額の基準を100万円未満から300万円未満に引き上げることとしています。(令和5年分以後のものについて適用)

贈与税・固定資産税の改正ポイントまとめ

  • 住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税措置が2年延長・限度額の引き下げ・要件の見直しがなされる
  • 住宅ローン減税の適用期限4年延長・控除率の引き下げ・新築住宅の控除期間延長・適用対象者の所得要件の引き下げがなされる
  • 固定資産税の据え置き特例処置の終了
  • 土地に係る固定資産税額の負担軽減策として2022年度に限り、負担水準が60%未満の商業地の課税標準額の増加を2.5%に抑制(現行5%)

以上、贈与税・固定資産税の改正ポイントについて解説しました。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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