事業承継においては自社株式の評価や贈与・相続税などの話に注目しがちですが、後継者は経営理念を理解し、引き継ぐことも重要です。
経営理念を承継し、時代の変化に合わせて見直していかなければなりません。
この記事では、事業承継における経営理念の承継の重要性について、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。
経営理念は会社を動かす
事業承継には、以下の3つの構成要素があります。
①経営権の承継 |
社長の役割 経営権 |
②資産の承継 |
自社株式 事業用資産(土地・建物) 運転資金・借入等 |
③知的資産の承継 |
経営者理念 会社の信用 ノウハウ・技術・技能 人脈や知的財産権 |
③の知的資産は会社の強みと言える部分です。これらを承継することは事業を承継し、継続していくうえで非常に重要です。
知的資産の1つである経営理念とは、会社の夢・目指すべき姿・存在意義などを明文化したものです。
会社というのは、社長をはじめ複数の人たちによって成り立つ組織なので、経営理念が意思決定や行動のよりどころとなるわけです。
したがって、後継者は会社の根幹に関わる経営理念を理解し、承継することが肝心です。
経営理念は有効な戦略資源である
業績の良い会社には、会社の夢や目標を表現した経営理念と、経営理念に基づいた経営計画・実行力があります。
経営理念は立派な戦略資源であり、利益や業績に対して効果を発揮するとも言われています。
経営理念が他社の丸写しであったり、ただの飾りになっていたりすることもあるかもしれません。
事業を承継する際に、改めて経営理念が戦略資源として活きているか確認する必要があるでしょう。
経営理念を明確に
経営理念がないといっても、考えや方針もなく経営している経営者はいません。
経営理念を明文化するために、以下の6点について自問自答しましょう。
- ①何のために経営をしているのか?・・・経営に対する基本的な軸となる目標・夢
- ②どのような会社にしたいのか?・・・会社のあるべき姿、社会における役割・存在意義とは
- ③大切にしたい価値観・社会観・人生観とは何か?・・・組織の価値観を明確にせず、各自の判断に委ねると組織の意思決定にブレが生じる
- ④顧客に対する基本的姿勢は?・・・企業を取り巻く関係者との共存・共栄は事業継続に必須
- ⑤社員に対する基本的姿勢は?・・・社長から新入社員まで役割分担を明確にし、成長しあえる共育関係の構築
- ⑥地域社会に対する基本的な姿勢は?・・・雇用創出や所得水準の向上等、地域に貢献できているかという視点
経営理念は頻繁に変更するべきものではありませんが、現在の社会情勢や価値観に合ったものであるか確認する必要があります。
既に経営理念があったとしても、時代の変化に合わせて内容を見直していくことが大切です。
会社の想いを内外へ積極的に発信すべき理由
経営理念は、経営者や後継者の理解のみならず、その意味を伝えて社内に浸透させなくてはなりません。
経営計画や行動指針の作成して実行し、経営理念に基づいた経営の実現を図っていきましょう。
社外に向けては名刺・ホームページで、自社の経営理念に込めた想いを積極的に発信します。
発信することで、有言実行のための責任や緊張感が生まれます。
また、経営理念に共鳴する企業とのご縁が生まれたり、取引関係が強化されたりすることで、さらなる事業発展につながることでしょう。
事業承継における経営理念の承継の重要性まとめ
- 経営理念は戦略資源であり、利益や業績に対して有効である
- 経営理念は時代の変化に伴って見直していく必要がある
- 経営理念を内外に発信することで社員が団結、また、新たな縁を結ぶ機会や取引関係の強化がなされていくことで事業発展につながっていく
以上、事業承継における経営理念の承継の重要性について解説しました。