特例事業承継税制の特例措置は、特例承継計画を都道府県に提出することで適用されます。
計画に記載した後継者の名は、特例承継計画の提出後でも変更申請書を提出することで変更が可能です。
この記事では、特例承継計画の提出と記載した後継者の変更申請について、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。
※相続税のご相談については、提携している税理士を紹介いたします。
目次
特例事業承継税制とは
特例事業承継税制とは、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」で、承継した後継者の贈与税・相続税負担を軽減させる制度です。
たとえば、自社株式を後継者に贈与したとしましょう。
特例事業承継税制の適用を受けていれば、贈与税の全額が猶予されます。
さらに、先代経営者が死亡した際には贈与税の全額が免除されることになります。
また、相続税については、贈与時の株式評価額が相続税の課税対象に加えられて課税されるところ、株式評価額に対応する相続税の全額が納税猶予されます。
特例承継計画の提出期限
特例事業承継税制の適用を受けるには、会社が特例承継計画を作成して都道府県に提出し、確認書の交付を受ける必要があります。
特例事業承継税制の適用を受けるには、提出期限※までに特例承継計画を提出します。
この特例措置が適用されるのは、令和9年12月31日までに後継者が経営者になる場合に限ります。
- 令和4年度税制改正大網で、特例承継計画の提出期限が令和5年3月31日から令和6年3月31日に延長されました。
変更申請書の提出で特例承継計画に記載した後継者を変更できる
後継者の候補はいるものの、誰にするか決めていないため特例承継計画が提出できないという声を聞くことがあります。
特例承継計画の確認申請書には、後継者の名前を記載しなければ提出できないためです。
しかし、一度記載して提出した計画の確認を受けたからといって、変更できないというわけではありません。
特例承継計画の後継者は、贈与する前であれば変更の申請をすることで変更できます。
新たな後継者に変更して贈与する場合は、その後継者の特例承継計画の変更申請書を提出した後で贈与しましょう。
これは相続の場合も同様です。
たとえば、贈与前に先代経営者が死亡したとしましょう。
極端な話、相続人が話し合って特例承継計画の変更申請書を提出し、当初の計画に記載した人とは別の人が後継者となって株式を相続することも可能というわけです。
後継者は何人まで記載可能なのか?
後継者の記載は、一般措置では1人に限られます。
しかし、特例承継計画では最大3人分記載することが可能です。
3人分を記載し、実際には1人贈与することもできます。
また、記載を1人だけにしておいて、特例承継計画の変更届を提出し、2人に変更してから2人に贈与することもできます。
たとえば、一般措置でなら2人兄弟のどちらか1人のところを、特例事業承継税制では両方が適用を受けることが可能なのです。
特例事業承継税制の適用においては柔軟な選択ができる
特例事業承継税制の適用を受ける場合、都道府県の確認書の交付を受ける必要があります。
しかし、確認書の交付を受けたからといって、特例事業承継税制の適用を受けなければならないということはありません。
死亡した先代経営者から株式を相続した後継者が、今後会社をどのようにしていくべきか、特例措置の適用を受ける以外の方向で検討することも可能です。
このように、特例事業承継税制の適用については柔軟に選択することが可能です。
したがって、自社株式の評価額が高額であれば、ひとまず特例承継計画を作成・提出し、確認書の交付を受けて権利を確定させておくといいでしょう。
特例承継計画の作成に取り組むことで、現状を把握し、事業承継税制の適用を受けるべきかどうかを考えるきっかけにもなるからです。
特例承継計画の提出と記載した後継者の変更申請のまとめ
- 贈与前ならば計画に記載した後継者を変更することが可能
- 特例承継計画には後継者を最大3人分まで記載することができる
- 確認書の交付を受けたからといって、特例措置の適用を受けなければならないわけではない
以上、特例承継計画の提出と記載した後継者の変更申請について解説しました。
※相続税のご相談については、提携している税理士を紹介いたします。