年金を受給していた人が亡くなった場合、遺族が行うべき手続きには何があるのでしょうか?
また、遺族の手続きの負担を軽くするためには、どのような情報を伝えておけばいいのでしょう?
年金受給者が亡くなった後の年金手続きのために、あらかじめ知っておきたいことを紹介します。
この記事では、年金受給者が死亡した後の手続きのために知っておきたい4つのことについて、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。
目次
年金受給者が亡くなった際の手続きについて
年金受給者が亡くなると、遺族は死亡届や未支給年金の請求などの手続きをすることになります。
遺される家族の手続きの負担を軽減するため、事前に準備できることとは何でしょうか?
年金受給者が亡くなった際の手続きについて紹介しましょう。
①日本年金機構にマイナンバー収録している場合は死亡届の提出が省略できる
国民年金や厚生年金などの公的年金を受給していた人が亡くなると、年金を受ける権利は失われます。
まずは年金事務所などへ「年金受給者死亡届(報告書)」を提出する必要があります。
このとき、日本年金機構に個人番号(マイナンバー)が収録されている場合は、原則として死亡届の提出を省略できます。
なぜなら、マイナンバーによって死亡が分かるようになっており、遺族が届け出る必要がないからです。
②未支給年金を請求できるよう年金証書などの保管場所を家族と共有しておく
未支給年金を請求する際、必要になる情報は次のとおりです。
- 受給している年金の証書(国民年金・厚生年金・確定拠出年金・企業年金基金など)
- 年金手帳(基礎年金番号が必要なため)
以上の2つがどこにあるか家族にも分かるよう、保管場所を共有するといいでしょう。
また、老齢厚生年金や老齢基礎年金を受給している人が死亡した場合は、遺族年金をもらえることがあるので、この辺の情報についても伝えておくことをおすすめします。
年金事務所などの連絡先を共有しておくとよりスムーズに手続きできるでしょう。
家族に伝えておきたい情報をまとめます。
- ①受給している年金の種類
- ②基礎年金番号
- ③年金証書の保管場所
- ④年金事務所などの連絡先
なお、確定拠出年金や確定給付企業年金については、それぞれの運営機関によって届出用紙などが異なっています。
各機関に連絡して手続き方法を確認しましょう。
③未支給年金は誰が受け取れるのか?
年金は2か月に1回、原則として偶数月の15日に前月分・前々月分が後払いされます。
年金受給者が亡くなると、その月分までの年金が未支給年金となるため、請求の手続きを行う事で支給されます。
未支給年金を請求できるのは、亡くなった年金受給者と生計を一にしていた※以下の者です。
- ①配偶者
- ②子
- ③父母
- ④孫
- ⑤祖父母
- ⑥兄弟姉妹
- ⑦それ以外の3親等(甥・姪・おじ・おば等)
この順番で最先順位の遺族が受け取れます。
未支給年金の請求に必要な書類は次のとおりです。
- 年金証書
- 戸籍謄本(亡くなった人と請求者の続柄がわかるもの)
- 住民票(亡くなった人の住民票の写し・請求者の世帯全員の住民票の写し)
- 請求者名義の預金通帳
- 手続きする人の本人確認書類
- 請求者以外の人が手続する場合は委任状
未支給年金の請求先は、厚生年金の場合は年金事務所、国民年金なら住所地を管轄する市区町村役場になります。
請求期限は亡くなった人の年金支払日の翌月の初日から5年以内ですが、死亡届と一緒に手続するといいでしょう。
なお、未支給年金は相続財産には含まれません。
受け取った人の一時所得となるため、確定申告が必要になることもあります。
生計を一にするとは?
- 日常の生活の資を共にすることをいいます。
会社員、公務員などが勤務の都合により家族と別居している又は親族が修学、療養などのために別居している場合でも、①生活費、学資金又は療養費などを常に送金しているときや、②日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には他の親族のもとで起居を共にしているときは、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。- 引用:国税庁Webサイト「生計を一にする」
④支給もれ年金は遺族でも受け取れる
年金受給者が若いころに転職を繰り返したり、姓が変わったことはありませんか?
年金保険料の記録もれが問題となったのは2007年のことでした。(日本年金機構HP「年金記録問題とは?」)
問題発覚後、すぐに自分の年金記録を調べていなかった場合、死亡後に支給もれが発覚することもあります。
次のようなケースに当てはまる場合、記録もれが起こっているかもしれません。
- 転職が多かった
- 姓(苗字)が変わったことがある
- 色々な名前の読み方ができる
- 学校に通いながら働いていたことがある
- 結婚前に働いていた
年金の時効は原則として5年ですが、年金事項特例法※に該当する場合、支給もれしていた分の年金の増額分は時効で消滅した分も含め、本人または遺族が受け取ることができます。
制度の対象となるのは、以下に該当する人です。
- 原則として年金記録を訂正して年金額が増えた人
- 年金記録を訂正して受給資格を得た人
※制度の詳細は日本年金機構HP「年金時効特例法の施行について」をご覧ください
これらに該当する場合の本人または遺族に、未支給年金として時効消滅分を含めて支払われます。
この場合の遺族とは、生計を一にする人のうち①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹の順に受け取ることができます。
当然ながら、これから年金記録を調べ、年金記録を訂正する人も制度を利用することができます。
年金額が少なかったり、記録もれが起こりやすいケースに該当したりする場合は、年金記録を調査することをおすすめします。
なお、支給もれ年金は未支給年金として扱われるため、相続財産に含まれず、一時所得となります。
年金受給者が死亡した後の手続きのために知っておきたい4つのことまとめ
- 日本年金機構に個人番号(マイナンバー)が収録されている場合は死亡届の提出を省略できる
- 年金証書や年金手帳など、未支給年金の請求に必要な情報を家族に伝えておく
- 未支給年金は生計を一にしていた遺族が請求することができる
- 支給もれ年金は本人または生計を一にしていた遺族が受け取れるので、年金記録は調査するといい
以上、年金受給者が死亡した後の手続きのために知っておきたい4つのことについて解説しました。