コラム

COLUMN
2023.01.30

【相続手続き】死後離婚するとどのような影響があるのか?

配偶者が亡くなっても配偶者の親族(姻族)との関係は続きます。

姻族との関係を解消したいのであれば、死後離婚=姻族関係終了届の提出をすることになります。

死後離婚によって配偶者の遺産が受け取れなくなることはありませんが、名字を旧姓に戻したい場合はさらに「復氏届」を提出する必要があります。

死後離婚(姻族関係終了届)と相続への影響、旧姓に戻す方法(復氏届)について説明していきましょう。

この記事では死後離婚について、日野市・八王子市・立川市で相続手続き・遺言作成サポートをしている行政書士法人ストレートが解説します。

死後離婚=姻族関係終了届の提出

死後離婚とは、配偶者が亡くなった場合に「姻族関係終了届」(いんぞくかんけいしゅうりょうとどけ)を提出して姻族関係を解消することをいいます。

姻族関係が終了すると、亡くなった配偶者の父母の扶養義務を負わなくなるほか、配偶者の家の祭祀承継者になっている場合は相手方の家の人などにその地位を引き継げます。

姻族関係終了届に姻族の同意や署名は必要ないので単独で行うことができます。

姻族関係終了届は本籍地か現住所の役所に提出します。

なお、配偶者との婚姻関係は配偶者が亡くなると終了するので再婚にあたって死後離婚する必要はありません。

死後離婚は相続に影響しない

死後離婚は配偶者の親族との関係を終了するもので、配偶者の相続人としての権利や地位が失われるものではありません。

また、代襲相続が発生した場合の子どもの相続権にも影響しません。

ただしこれは、死後離婚しただけでは相続放棄にならないということでもあります。

配偶者に借入やローンなどのマイナスの財産がある等の事情で相続放棄を希望する場合は、相続が発生してから3ヵ月以内に相続放棄の手続きを行いましょう。

※代襲相続の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

※相続放棄の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

名字を戻すには復氏届を提出する

婚姻によって名字が変わった人が、配偶者が亡くなった後に旧姓に戻すための届出を「復氏届」(ふくうじ、またはふくしとどけ)といいます。

配偶者の死亡届を提出した後に復氏届を提出すると、亡くなった配偶者の戸籍から抜けて旧姓に戻ります。

復氏届のみを提出しても旧姓に戻るだけなので、配偶者の親族との関係は継続します。(関係を終了させたい場合は姻族関係終了届を提出します)

また、復氏届を提出したことで配偶者の相続人としての地位や権利に影響することはありません。

なお、届出を提出しても子どもの名字は変わらないため、子どもの名字も自分と同じ旧姓に変えたい場合は「子の氏の変更許可申立書」を家庭裁判所に提出しましょう。

提出して許可審判を受けたら、入籍届を提出して子どもを自分と同じ戸籍に移します。

配偶者、子どもの名字を戻す手続きの流れを次の表にまとめています。

  配偶者 子ども
方法 復氏届の提出 氏の変更許可申立書を家庭裁判所に提出。許可審判を受けて入籍届を提出。
申請・申立人 本人 本人(子どもが15歳未満なら法定代理人が申し立てる)
必要書類 復氏届・戸籍謄本等 申立書・子どもと父母の戸籍謄本・800円の収入印紙・郵便切手等
提出先 配偶者の本籍地または住所地の市町村役場 子どもの住所地の家庭裁判所

死後離婚まとめ

  • 死後離婚とは姻族関係終了届を提出して配偶者の親族との関係を法的に解消することで、配偶者の相続人としての地位や権利には影響しない
  • 死後離婚によって相手方の父母の扶養義務を負わなくなるほか、祭祀承継者の地位も相手方の家の人に引き継ぐことができる
  • 姻族関係終了届に姻族の同意や署名は必要なく、単独で行える
  • 旧姓に戻したい場合は復氏届を提出する必要がある

以上、死後離婚について解説しました。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

行政書士法人ストレートの代表行政書士。「相続・遺言」「許認可申請」「在留資格申請」を中心に活躍。他士業からの相談も多いプロが認める専門家。誠実、迅速な対応でお客様目線のサービスを提供します。

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